
「雨の日でも気にせず洗濯物を干せる」
「花粉や黄砂を気にしなくていい」
「共働きだから夜に洗濯を済ませたい」
など、新築の注文住宅を建てる際に多くの人が希望する「浴室乾燥機」。
一見するとメリットばかりで、今の賃貸アパートにないからこそ「マイホームには絶対につけたい!」と思う方も多い設備です。
しかし、実際に家を建てて住み始めてみると、「思ったより乾かない…」「電気代が高すぎて使わなくなった…」と後悔している先輩オーナーが少なくないのが現状です。
オプション費用を払って設置したのに、使わなくなってしまったら非常にもったいないですよね。
そこでこの記事では、建築士の視点から、浴室乾燥機で後悔しやすい5つの理由と、失敗しないための具体的な対策をわかりやすく解説します。
これから間取りや設備を考える皆さんが、後悔のない家づくりを進めるための参考にしてくださいね。

まずは、実際にマイホームに浴室乾燥機を設置した人が「こんなはずじゃなかった…」と後悔している代表的な5つの理由を見ていきましょう。
浴室乾燥機の多くは「電気式」です。
実は、電気で熱を起こして部屋全体を温めながら乾燥させるのは、非常に多くの電力を消費します。
特に冬場や、洗濯物の量が多い日などは、1回の運転で4時間〜8時間もかかってしまうことがあります。
毎日これだけの時間使い続けると、電気代が月に数千円も跳ね上がってしまうケースが珍しくありません。
「便利だから毎日使おう!」と思って導入したものの、毎月の電気代の請求書を見て「高すぎて気軽に使えない…」と、使用をためらうようになってしまう人が多いのです。
浴室乾燥機は、コインランドリーにあるような「ドラムが回転して温風を当てる乾燥機」とは仕組みが異なります。
お風呂場という広い空間に温風を吹き出し、吊るした洗濯物を乾かすため、どうしても時間がかかります。
特に以下のような厚手の衣類は、なかなか乾きません。
「2〜3時間回せばカラッと乾くと思っていたのに、夕方になってもまだ湿っている…」ということになりがちで、期待していたほどの時短にならないケースがあります。
子どもが生まれたり、家族の人数が4〜5人に増えたりすると、1日の洗濯物の量は一気に多くなります。 そうなると、以下のような問題が発生します。
浴室乾燥機は、風が洗濯物の隙間を通り抜けることで水分を飛ばします。
洗濯物がギューギューに詰まっていると、温風が奥まで届かず、何時間運転しても生乾きのニオイが残ってしまう原因になります。
浴室乾燥機を運転している間は、ブーンというモーター音や激しい換気音(排気音)がずっと響きます。
昼間なら気にならなくても、電気代の安い深夜にお得に乾かそうとすると、この音が意外と耳に触ります。
特に、お風呂場と寝室や子ども部屋が近い間取りにしている場合、「音が気になって眠れない…」というストレスに繋がることがあるため注意が必要です。
新築当初はめずらしくて使っていたものの、数年経つと以下のような理由で全く使わなくなるケースが多々あります。
お風呂場は本来、濡れる場所です。
お風呂に入った直後だと、浴室内の湿気を取るだけで時間がかかってしまい、効率が落ちます。
「お風呂をしっかり拭き掃除してから洗濯物を干すのが面倒になった」というリアルな声もよく耳にします。

ここまでデメリットや後悔の声をお伝えしてきましたが、浴室乾燥機は決して「不要な設備」ではありません。
自分のライフスタイルにぴったり合っていれば、これほど心強い味方はありません。
では、どのような家庭に向いているのでしょうか?
夫婦共働きで、昼間は2人とも家を空けている家庭には非常に便利です。
昼間に突然雨が降ってきても、浴室内に干していれば洗濯物が濡れる心配はありません。
「天気を気にせず出かけられる」という安心感は、忙しい共働き夫婦にとって大きな精神的メリットになります。
家族に花粉症やアレルギー(黄砂・PM2.5など)を持っている人がいる場合、外干しは避けたいものです。
浴室乾燥機があれば、春先や秋口などのつらい季節でも、完全にシャットアウトされた空間で清潔に洗濯物を乾かすことができます。
「仕事から帰ってきて、夜に洗濯機を回して干す」というルーティンができている家庭にも相性抜群です。
夜の間に浴室乾燥機をセットしておけば、朝起きたときには乾いているため、そのまま服を着て出かけることも可能です。
生活リズムに組み込みやすいのが特徴です。

最近、インスタグラムなどのSNSや家づくりブログで大人気なのが、リンナイのガス衣類乾燥機「乾太くん(かんたくん)」です。
浴室乾燥機を検討するなら、必ずと言っていいほど比較対象になります。
それぞれの違いを分かりやすく4つのポイントで比較してみましょう。
乾太くんはガスの圧倒的な大火力を使うため、5kg〜8kgほどの大量の洗濯物も、わずか1時間前後でカラリと乾かしてしまいます。
家事の時短という意味では、乾太くんの圧勝です。
プロの試算でも、毎日のように乾燥機能を使うのであれば、乾太くんの方が月々の光熱費を安く抑えられるケースがほとんどです。
タオルの柔らかさを重視するなら、圧倒的に乾太くんが心地よく仕上がります。
初期費用を安く抑えたいなら浴室乾燥機、初期費用をかけてでも毎日の家事効率を爆上げしたいなら乾太くん、という選択肢になります。

「じゃあ、自分の家には浴室乾燥機をつけるべき?それともやめるべき?」と迷ってしまいますよね。
マイホームが完成してから後悔しないために、以下の3つの対策(判断基準)を参考にしてください。
まずは、将来的なことも含めた「家族の人数」をベースに考えてみましょう。
「家電の進化」を家づくりに組み込むことも重要です。
最新のドラム式洗濯乾燥機は、電気代を抑える「ヒートポンプ式」が主流になっており、非常に省エネで綺麗に乾きます。
「普段の衣類やタオルはドラム式洗濯機でボタン一つで乾燥まで行う」「ドラム式に入れられない、縮みやすいおしゃれ着や、型崩れさせたくないスーツだけを浴室乾燥機に干す」というように、家電と設備を賢く使い分ける(併用する)計画にしておくと、電気代も抑えられて後悔がなくなります。
20代〜40代の注文住宅で今、最もトレンドになっているのが「ランドリールーム(室内干し専用の部屋)」をつくる間取りです。
「洗濯機を回す → その場で干す → 乾いたらすぐ横のファミリークローゼットに収納する」という動線をつくります。
このランドリールームに、天井付きの換気扇や、壁掛けのサーキュレーター(扇風機)、除湿機を設置すれば、浴室乾燥機を使わなくても、驚くほど早く、安く洗濯物が乾きます。
「お風呂場に干す」という概念を無くし、部屋干し専用スペースをつくることで、お風呂の湿気問題やカビの心配からも解放されるため、非常におすすめの選択肢です。

浴室乾燥機は、上手に使えば雨の日の強い味方になる便利な設備です。
しかし、何も考えずに「みんながつけているから」という理由だけで採用してしまうと、電気代の高さや乾燥時間の長さに不満を持ち、使わなくなってしまうリスクがあります。
最後に、後悔しないためのポイントを振り返りましょう。
注文住宅は、一から自由に間取りや設備を決められるのが最大の魅力です。
「なんとなく便利そう」で選ぶのではなく、皆さんの実際の生活スタイルに本当に合うかどうかをじっくり話し合って、後悔のない快適なマイホームを完成させてください!